はじめに
ソフトウェアテクノロジー部の活動で「Emoji SANPO」というアプリを開発し、北海道学生アプリコンテスト2019というコンテストに出場した。その結果、企業賞「INDETAIL賞」を受賞することが出来たのでここに記録しておく。
北海道学生アプリコンテスト2019
北海道学生アプリコンテストは、北海道モバイルコンテンツ・ビジネス協議会(HMCC)が開催する、モバイルアプリのコンテストだ。今回で7回目と、それなりに歴史のあるコンテストらしい。我々も昨年出場し、今回とはまた別の企業賞「ハ・ン・ド」賞を頂いた。
去年は部で1つのアプリを開発して提出したが、今回はさらに4つのチームに分かれてそれぞれが作品を企画・開発・提出した。他の3つは残念ながら落選してしまったものの、僕らの開発したアプリ「Emoji SANPO」は一次審査を通過することが出来た。一次審査通過チームは最終審査会に行き、プレゼンをすることになる。
というわけで、2019年2月22日(金)に札幌まで行ってプレゼン発表をしてきた。
Emoji SANPO
今回作ったのは、Emoji SANPOというアプリだ。部活の後輩のことみんと企画し、開発した。
コンセプトは、「直感で絵文字を選ぶとお出かけ先を提案してくれるアプリケーション」である。ユーザが今の気分に合った絵文字をいくつか選ぶと、その気分に合った周りのおすすめスポットを提案してくれるというアプリで、言葉の壁を超えた直感での検索をすることが出来るという点がウリだ。
アイコンはこんな感じ。
サーバサイドはいつも通りRailsで、クライアントはSwiftでiOSネイティブアプリという構成だ。デプロイ先にはHerokuを利用した。場所データの収集やアプリ内での地図表示にはGoogle Maps Platformを利用している。
このアプリの一番のキモである場所情報と絵文字の紐づけは、後のスライドで登場するユーザからの絵文字レビューを元に行うが、アプリ立ち上げ時には当然そのデータが無い。そのため、Google Places APIから集めたレビュー文を感情分析し、それを絵文字と場所との紐付けのための初期データとした。感情分析には、MITが開発したDeepMoji*1を利用した。これは、テキストの感情を分析してその結果を絵文字で表現してくれるというライブラリだ。
技術的にそんなすごい事をしているわけでは無いが、アイデアの奇抜さで戦っていくという戦法のアプリだ。
プレゼン
当日のプレゼンは発表7分+質疑応答3分という感じだった。
デモの代わりに、応募書類に書いておいたPVも貼り付けておく。当日のデモも概ねこんな流れで行った。(音量注意)
プレゼン中の様子はこんな感じ。
結構緊張したけど、早口になりすぎず、発表時間を過ぎることもなくちょうどよい感じで発表をすることが出来た。
受賞・講評
審査の結果、企業賞「INDETAIL賞」を受賞することが出来た。 札幌のIT企業である株式会社INDETAIL*2さんの賞で、記念のトロフィーと副賞でAmazonギフト券3万円分も頂いた。ありがとうございました。
受賞時の審査員からの講評や、懇親会でアドバイス頂いたことはだいたいこんな感じだった。
- 場所の検索ではなく、絵文字版のGoogleって感じにするとどうか。そういうブラウザを作ってやるとかどうだろうか。はてなブックマークの絵文字版?
- 結局これはハッシュタグの代わりに絵文字タグを使っているということなので、絵文字に軽いタグ的な文章をつけてやるとどうか。
- 文章では表現しきれないふわふわ感をどう絵文字で表現してもらうか、周りの人達にインタビューして見ると良いと思う。
- 笑ってる絵文字だけでも何種類もあるけど、それぞれの微妙な違いはどうするの?
- などなど。
今回のアプリは懇親会でも審査員・学生から評判が良く、特に「既存の検索とはまた違った、絵文字での検索」という点に注目してもらうことが出来た。基調講演をしに来た方には「とにかくすごいアイデア」と言っていただいたり、司会の方からも「こういうのあったら使ってみたいと思う!」とコメントを頂いたので、受賞と同じくらい嬉しかった。2倍の嬉しさである。
雑感
実はこのアプリ、高専プロコンの課題部門に出して予選落ちしている。その後U-22プロコンに出して予選落ちし、そして今回のアプリコンテストでやっと受賞を果たした。場所が変われば評価も変わるもんだな、と改めて思った。
高専プロコン 課題部門のテーマは、「ICT を活用した地域活性化」だった。「普段の検索とはまた違った検索方法で場所を探すことで、普段行かないようなお店に足を運ぶようになり、それが地域活性化につながるよ!」という謳い文句で提出したのだが、「着眼点はおもしろいけど、どう地域活性化に結びつけるのかがイマイチ見えてこない」というコメントと共に落選通知が来た。その後U-22プロコンに応募するも、特にコメントなど無く落選。
そして、Emoji SANPOの供養先として選ばれたのが、今回の学生アプリコンテストだ。アプリが完成したのは数ヶ月も前の話なので、プレゼン準備をする頃には、自分たちのアプリを俯瞰して、客観的な目で見る事ができた。そこで、コンテストの講評でも言われたような話ではあるが、「これは絵文字で場所を検索できるアプリに価値があるのではなく、絵文字でいろんなコンテンツを検索できる検索エンジンを作ったということに価値があるのだ」ということに気づいてしまったのであった。アプリそのものを作り直すにはちょっと時間が足りないので、「Emoji SANPOというアプリを作りました!」というプレゼンから、「我々は絵文字検索という新しい検索ソリューションを発明した!その利用例の一つがEmoji SANPOだ!」という方向に舵を切った。結果、それなりにうまくいったようで本当に良かった。
絵文字によるタグ付けと検索という点にフォーカスをすれば、また違ったアイデアが湧いてくる。はてなブックマークの絵文字版的な使い方をしてもらえば、ユーザがあるコンテンツに対してどんな感情を向けているかのデータが我々の元に集まる。データをたくさん持ってるヤツが強いというのは、みんなの大好きなGAFAが示してくれたとおりなので、そこから収益を生み出す手がかりも出てくるはずだ。また、その集まったデータを元に、「今は泣いてる絵文字の気分なら、こんな泣ける映画はどう?」とか、「そんなにハートの絵文字な気分なら恋愛ソングでもどうぞ」といった具合に、既存の視聴履歴ベースとはまた一味違ったコンテンツのレコメンデーションを行うことも出来るだろう。まぁ、素人の僕が今適当に考えたみたいに全てがうまくはいかないかもしれないけれど、ナシでは無いと思う。
おわりに
長くなっちゃったけど、プロコン予選落ち→U-22プロコン予選落ち→アプリコンテスト提出という過程を踏む中で、一旦立ち止まって「自分たちは一体何を作っているのか。自分たちのアプリが提供する価値は何か。」を考える機会を作ればよかったな、と思った。アプリを作ってる間は目の前の開発に必死で、無理やり地域活性化にこじつけることしか見えてなかった。ここが反省点なのかなぁと思う。
とはいえ賞ももらえたし、懇親会でたくさん話しかけてもらえるくらいには良いアプリを作って発表できたと思うし、アプリ開発の経験も積めたしで、本当に良いアプリコンテストであった。学生(高専生)という肩書で開発系のコンテストに参加するのはおそらくこれが最後だと思うけど、今後も懲りずにハッカソン等で実力を試していきたいなと思っている。
自分がこういうコンテストの類に出るようになったのは、専攻科に入学してからだ。この2年間、一緒についてきてくれたソフトウェアテクノロジー部の後輩たち、そして発表指導や引率、運営のアドバイス等をしてくれたshigyo先生には本当にお世話になりました。めちゃくちゃ楽しい2年間でした。ありがとうございました。
来年度以降もやっていきましょう。